請求書・見積書の実務ガイド
納品書は請求書と一緒に送れば十分?後から「何を・いつ・どこへ」を確認できる控えの残し方
納品書を請求書に添付して終わりにすると、再送や請求内容の照合で探し直すことがあります。納品内容、送付記録、受領連絡を案件単位でつなぐ整理方法を解説します。

月末に請求書を作り、完成データの案内と納品書PDFをメールで送る。ここまでは済んでいても、数週間後に「この請求分は、どの納品に対応していますか」と聞かれると、メール、共有フォルダ、案件メモを行き来することがあります。納品書は送るための一枚であると同時に、後から納品内容をたどるための控えにもなります。
請求書と納品書は、確認したいことが少し違う
請求書は主に、何に対していくら請求するかを相手に伝える書類です。一方で納品書は、何を、いつ、どこへ納めたかを取引先と確認するときの手掛かりになり得ます。
たとえば、複数案件を月末にまとめて請求した場合、請求書だけでは個々のバナーや資料をいつ渡したかまで分かりにくいことがあります。請求先の経理担当と、実際にデータを受け取る担当者や拠点が異なる場合も同様です。担当者の交代後に過去の経緯を確認するときほど、納品時点の記録が役立ちます。
控えはPDF一枚だけで終わらせない
納品書の写しを保存していても、送信したメールが別の場所にあり、受領返信は受信箱に埋もれていると、確認には時間がかかります。案件ごとに次の情報を相互にたどれる状態にしておくと、問い合わせへの対応が変わります。
・納品日
・納品先と請求先
・案件名または案件番号
・品目、作業内容、数量、対象期間
・納品書のファイル名
・送付方法、送付日時、送付先
・受領返信や検収に関する連絡の有無
・対応する見積・受注内容・請求書
大切なのは、項目を完璧に埋めることより、同じ案件へ戻れる目印をそろえることです。案件名の表記が「春キャンペーン」「春CP」「A社バナー」とばらつくと検索が難しくなります。案件番号を使うなら、納品書、請求書、メールの件名、保存フォルダで同じ番号にすると、書類同士を結び付けやすくなります。
「送信済み」と「受領・検収済み」は分けて残す
メールを送った記録があっても、相手が添付ファイルを開いたか、内容を確認したかまでは、その記録だけでは分かりません。特に、検収完了後に請求する取り決めでは、納品連絡と検収完了の連絡を同じ意味として扱わないほうが安全です。
物品なら配送伝票、受領印、検収書が使われることがあります。デザインデータ、原稿、ソフトウェア、コンサルティングなどでは、納品日や確認方法が物品と異なることもあります。取引先の発注条件、指定様式、受領システムのルールに合わせ、どの連絡を受領確認として残すかを案件ごとに整理します。
再送や差し替えは、元の記録を消さない
ファイルの修正版を送り直したとき、古い納品書や最初の送信メールを上書きで消すと、後から説明しにくくなります。「いつ、何を再送したか」「どのファイルを差し替えたか」を追記し、元の送付記録も残します。変更前後が分かれば、請求内容との照合もしやすくなります。
表計算の案件台帳は、少ない件数なら納品状況を一覧にするのに便利です。ただし、台帳だけ更新してメールや保存先のファイル名を変えないと、情報が分断されます。担当者ごとの入力ゆれや上書きも起きやすいため、案件名・番号、納品日、送付先といった最低限の欄は固定しておくとよいでしょう。
まず直近の一件をたどってみる
最近の納品書を一件開き、納品日、納品先、案件名、内容、送付方法、送付先をすぐ確認できるか見てみます。次に、対応する見積・受注内容、請求書、送信メールまたは共有記録へ迷わず移れるかを確かめます。見つからない情報があれば、それが次回から控えに加える項目です。
納品書の発行方法や保存の扱いは、取引先との取り決め、取引内容、電子データのやり取りの方法によって異なります。保存期間や税務上の扱いを判断する必要がある場合は、国税庁の帳簿書類・電子取引に関する案内や、契約・発注条件を確認したうえで、必要に応じて専門家へ相談します。